講師・内容紹介

 今大会では、会期中の二日間にわたり、 ワークショップ1(習熟度別)と、ワークショップ2(テーマ別)の2種類のワークショップを予定しています。 参加者は両ワークショップに参加可能で、両日参加されますと、 臨床心理士資格認定協会のポイント取得対象となります。ふるってご参加ください。非会員の方もご参加いただけます。
 (非会員対象の公開講演、公開シンポジウム、交流の広場(懇親会)の詳細については、 「公開基調講演・シンポジウム」および「参加申込方法」のページをご参照ください。)

ワークショップ1(習熟度別) 9月4日(金) 9:30~12:00

1-A:(初心者向け)「子どもの心の声を聴くために」
黒川 嘉子 (奈良女子大学)

 来談者の語りを「聴くこと」の大切さは、プレイセラピーにおいても何も変わりません。ただ、言葉のみならず、遊びを通して、身体を通して表現する子どもの語りを理解することの難しさに、セラピストは直面させられ、困惑することも多いのではないでしょうか。“子どもならでは”、“プレイセラピーならでは”の表現を取り上げ、子どもの心の声を聴くセラピストとしての専門的理解力とともに、想像力、創造力を豊かにする時間にしたいと考えています。

1-B:(初心者向け)「初心者のための遊戯療法の手ほどき
             -体験から学ぶプレイルームでの立ち居振る舞い-」
難波 愛 (神戸学院大学)

 遊戯療法とカウンセリングの一番の違いは、時々刻々と変化する子どもとの距離や対面角度を常にモニターしながら「今ここ」の関係性を捉えるといった、五感をフルに働かせて全方向的に空間を把握するところにあるように思います。子どもとのやりとりにおいても、実況中継をしたり、役割を取ったり、敢えて黙ったりと、カウンセリングとは異なる様相が求められます。今回は、実際に動いたりロールプレイしたりしながら、プレイルームでの具体的な立ち居振る舞いについて学んでいきたいと思います。動きやすい服装でご参加ください。

1-C:(習熟者向け)「プレイセラピーの勘所(かんどころ)とケースマネジメント
                              -ジョイント事例検討を通して-」
山中 康裕 (京都ヘルメス研究所・京都大学名誉教授)
杉岡 津岐子(梅花女子大学)
徳田 仁子 (京都光華女子大学)
 プレイセラピーには、子どもの臨床像や家族力動についての見立てに始まり、セラピーの枠構造、転移やセラピストの内的体験などの要素を含む治療関係、そして象徴理解や事例の転換点など、必ず押さえておかなければならない勘所というものがあります。本ワークショップでは、3人の講師が一つの事例に様々な角度から光をあてることで、勘所を押さえた、専門的かつ総合的なケースマネジメントをともに考える場にしたいと思います。

ワークショップ2(テーマ別) 9月5日(土) 9:30~12:00

2-A:「遊戯療法におけるユーモア・笑い」
安島 智子(このはな児童学研究所)

 遊戯療法において子どもは抱えている葛藤や苦しさ、痛み、衝動性等をしばしば表出する。その際セラピストのユーモアは、笑いが生まれ場をつくることにも、笑いが突破口となり意味ある展開がもたらされることも起こりうる。神経症や心身症、衝動性の高い発達障害事例など、遊戯療法において笑いが生まれる時に何が起きているのか、笑いの質やユーモアのセンスに触れて参加者と共に考えたい。

2-B:「人形遊び技法」
石谷 真一(神戸女学院大学)

 人形遊び技法(Doll Play Technique : DPT)とは、人形等を用いて日常的な対人葛藤場面を面接者が演じて見せ、その続きを子どもに作らせるもので、子どもの心の世界の探求法の一つである。DPTは表象世界の査定のほか心理療法の効果判定にも欧米では用いられているが、筆者は子どもと面接者の作話に向かう共同作業と捉え、両者の相互交流を通して子どもの課題への取り組みの変化に着目している。DPTはセラピストの研修や養育者・保育者への子育て支援等、多様な活用可能性が考えられる。(ワークショップでは筆者の取り組みを紹介した上で、DPTの意義や活用等について参加者と共に考えたいと思っている。)

2-C:「自閉症スペクトラム障害の遊戯療法」→募集を再開いたしました。詳しくはトップページのinformationをご覧ください。
伊藤 良子(学習院大学大学院)

 自閉症スペクトラム障害など発達に偏りがあるとされる子どもには遊戯療法は適さないとの考え方がある。しかし、筆者の臨床体験では決してそうではなく、多くの子どもたちが遊戯療法によって着実な成長を見せた。こうした事実は、今日の分子生物学の研究成果とも一致する。事例を通して遊戯療法に生じることについて具体的に学び、人間の本質に深く触れたい。
 事例提供者:宮田麻里子(宝塚市教育総合センター)
         「自閉症スペクトラム障害の子どもの5歳から18歳までの遊戯療法過程」

2-D:「親子相互交流療法(PCIT)-親子をはぐくむ遊戯療法-」
國吉 知子(神戸女学院大学)

 PCITは行動障害を持つ2歳~7歳の子とその親を対象とする「遊戯療法のエッセンスを活かした行動療法」で、親子同室の遊び場面で親に適切な養育スキルをセラピストが「ライブコーチング」し、さらに、子が親の指示に従う練習をすることで親機能の回復と親子関係の改善を図る。PCITは親の再虐待率を2割に抑えるなど米国で高い評価を得ているが日本への導入は2008年と新しく、本学では昨年、西日本初のPCITを実施した。本ワークショップでは遊戯療法の基本的態度に通ずるPCITの技法や手続きについて具体的に解説する。

2-E:「施設におけるプレイセラピー」
妙木 浩之 (東京国際大学)
村松 健司(首都大学東京)

 私たちの研究では、施設における心理面接の困難は施設が生活支援の場であることと深く関連していました。ケアワーカーとの協働は施設心理臨床の重要な「態度」と考えられますが、同時に子どもの理解をどう深めるかという「見立ての技術」が私たちの仕事には求められるのではないでしょうか。今回は、妙木浩之先生の力動的ケースフォーミュレーションを中心にセッションを進めたいと思います。ご参加をお待ちしております。

2-F:「プレイセラピーと親面接 -発達障害を抱える母子への並行面接-」
田畑 洋子(はこ心理教育研究所)

 子どもの遊戯療法は多くの場合、親からの要請で始まりその継続についても親の意向が影響します。また、プレイルームにおける非日常の世界での子どもの変容が現実の世界に根を下ろしていくためには親の力が必要になってきます。しかし、親としての力が弱いときには面接は困難になり、子どもの問題も深刻化してきます。今回はそのような母子への並行面接の経過を提示し、心理療法の果たした役割について考えたいと思います。
 事例提供:親面接      服部孝子(幸田町教育相談室)
        プレイセラピー  樋口裕子(幸田町保健センター)

2-G:「子育て支援・保育カウンセリングとプレイセラピー」
滝口 俊子(日本臨床心理士会保育部会会長・放送大学名誉教授)

 保育カウンセリングを含む子育て支援の基本は、プレイセラピーです。単に一緒に遊ぶのではなく、子どもの可能性の開花に向けて取り組むプレイセラピーのアートが、不可欠なのです。ワークショップでは、その詳細を紹介いたします。実践報告の可能なかたは、大会事務局までご連絡ください。心理臨床の新しい分野に共に取り組む仲間と出会えることを、期待しています。

受講資格

① 日本遊戯療法学会会員
② 心理臨床近隣領域の仕事に携わっている非会員、大学院生

ワークショップ受講の申し込み方法

予約手続き

申込はがきをお持ちの方(会員)

 「ワークショップ受講申込書(紫色の往復はがき)」に必要事項を記入し、大会準備委員会事務局へ送付し、指定された期日までに受講料をお振り込みください。 受講料の振り込みが確認できませんと、予約申し込み受付とはなりませんので、ご注意ください。

申込はがきをお持ちでない方(非会員)

  1. ワークショップ、公開プログラムともに、参加希望の方は、申込ご希望の旨、 E-mailにて大会準備委員会事務局(japt21@mail.kobe-c.ac.jp)までご連絡ください。 なお、メールのタイトルは必ず「第21回大会 参加希望」とし、本文に「氏名およびご所属」を記入して送信してください。( ワークショップと公開プログラム申込は同じメールで結構です。別々にメールを送っていただく必要はありません。
  2. 折り返し、事務局より申込用のメールをお送りします。
  3. 受信された申込用のメールに下記の必要事項をご記入の上、ご返信ください。
    (ア)氏名
    (イ)会員・非会員の別
    (ウ)一般・大学院生・学部生の別(一般の方はご所属、学生の方は学校名と学年も)
    (エ)住所
    (オ)電話番号
    (カ)メールアドレス
    (キ)受講形態(両日・1日目のみ・2日目のみ)
    (ク)希望するコース(第3希望まで 1日目・2日目の別もご記入ください)
    (ケ)何でお知りになったか(チラシやホームページなど)
    (コ)臨床心理士資格の有無(有れば登録番号も)
    (サ)領収証の要・不要(要なら宛名もお知らせください)
    (シ)守秘義務についての誓約

注 意

  • 指定された期日までに受講料をお振り込みください。受講料の振り込みが確認できませんと、予約申し込み受付とはなりませんので、ご注意ください。
  • 振込の控えは、受付の際に必要となりますので、当日必ずお持ちください。
  • 受講申込ハガキに、両日希望か1日目のみ希望か2日目のみ希望かをお書き添え下さい。

定 員

各コース20名程度。(1-Aと2-Dは50名程度、1-Cは150名程度)

締め切り

 

申込・振込 2015年6月15日(月)→7月末まで延長いたしました。
※ お申し込み受付は先着順です(原則として会員の予約参加を優先)。希望コースが定員になり次第、第2希望、第3希望をご案内する場合があります。予約参加申し込みは、大会事務局で予約参加費のお振り込みが確認できて初めて、予約参加受付となります。 郵便振替の手続き上、お振り込みの確認が一週間から10日ほど遅れる可能性があります。お早めにお手続きくださいますようお願いいたします。

      振込先口座番号 : 00960-2-274743
      加 入 者 名 : 日本遊戯療法学会第21回大会準備委員会

受講通知

 はがきあるいはメールで折り返し、受講の可否および受講いただくコースをご連絡いたします。

当日参加について

 コースに空きがあれば受け付けます。受講状況によって、必ずしもご希望に添えない場合がありますので、早めに受講予約されることをお勧めいたします。

ワークショップ受講料

会員
(院生・学部生を除く)
予約 シングル 4,000
セット 6,000
当日 シングル 5,000
セット 8,000
院生・学部生
(会員・非会員)
予約 シングル 3,000
セット 5,000
当日 シングル 4,000
セット 6,000
非会員・一般の方
(院生・学部生を除く)
予約 シングル 5,000
セット 8,000
当日 シングル 5,500
セット 9,000

臨床心理士の更新ポイントについて

 ワークショップご参加の場合、規定により、 1日目と2日目の両日のワークショップに参加の場合のみ、臨床心理士資格認定協会のポイント取得対象となります。 各自、参加証もしくは領収書をお手元に保管してください。

日本遊戯療法学会第21回大会に関する問い合わせ・連絡先
大会案内が必要な方にはお送りいたしますので、E-mailでご連絡ください。
〒662-8505 兵庫県西宮市岡田山4-1
神戸女学院大学大学院人間科学研究科 心理相談室内
日本遊戯療法学会第21回大会準備委員会事務局
E-mail:japt21@mail.kobe-c.ac.jp
大会HP : http://www2.kobe-c.ac.jp/playtherapy2015/